おもしろい落語は、その歴史もおもしろい。
昔は、落語なんて古臭い使い古しの芸能だ、なんて思っていましたが、あるレコード屋さんの店長との出会いがきっかけで古今亭志ん生にはまり、その後気づいたら落語が大好きになっていました。
本来は高座で聞くものなのでしょうが、現在では、テレビやラジオ、あるいはもしかしたらCDなどの音源を買いでもしないと、落語を聴くことはないのでは?落語をちゃんと聴いたことなんてない、という方も多くいらっしゃるでしょう。
落語は話芸で、話芸はそれぞれの落語家の技です。古来から伝わるお題でも、その落語家しだいで、お話は天井知らずに面白くなるし、江戸落語や上方落語など、その落語家の活動する地域地域で、味わい深い趣が加わります。上方での黎明期から江戸期、明治、大正から昭和、平成の現代へと、長い歴史のある落語ですが、それは伝統芸能というよりも、常に最先端の笑いの芸術なのだと思います。
今ではバラエティ番組の司会やパーソナリティを勤める落語家さんもいくらかいらっしゃったりして、そちらで触れる機会のほうがおおいかもしれません。しかしそもそも、噺家になるためには、師匠の身の回りの世話をする弟子から始まり、同時に自分の噺を磨くための鍛錬に身を砕き、師匠の話を一言一句漏らさず聴いては自分の栄養にする、そんな時期を経る必要があります。
歴史のある芸能は、こうした噺家たち厳しい鍛錬と、常に「今」の聴衆を笑わせるためのたゆまぬ練達、そして才能あふれる名噺家たちの存在で、今まで続いてきたのです。愛する落語をもっと楽しみ、また噺家への惜しみない拍手をもっと気持ちをこめて送れるように、こんなサイトをつくりました。
落語は進化し続ける芸能
落語というと、古めかしい話を延々と話しているイメージがありますよね。だから、聞いても楽しめないんじゃないかと、敬遠している若い人も少なくないんじゃないかと思います。ですが実際は、落語では古めかしい話ばかりではなくて、新しい話もするんですよ。「新作落語」と呼ばれるもので、近現代に作られた落語なのですが、その中には“現代モノ”と呼ばれる、現代を舞台にした話もあるんです。それって落語って言えるのかって思われるかもしれませんが、それもまた落語なんです。落語っていうのは伝統的な話をしているかどうかっていうのが大事なのではなくて、聞かせ方や見せ方、そういったものが大事になるんですね。だから、落語のルールに沿えば、近現代の話でも落語になるんです。落語っていうのは進化し続ける芸能なんですね。
新作落語といえば、「三遊亭円丈」の新作落語は必見です。この方は、近年の新作落語ブームの走りとも言える方で、これまで数多くの新作落語を生み出してきました。『グリコ少年』をはじめとする、これまでにない形の落語の数々は、私たちに落語の面白さを教えてくれます。ちなみに、三遊亭円丈はいまだ現役の落語家ですから、いまなら生の新作落語を聞くこともできますよ。
また、三遊亭円丈の他にも、新作落語を演じる落語家は数多くいます。あなたの住んでいる地域でも、きっと新作落語が演じられているはずですから、若い人も、興味がありましたら、ぜひ身近な落語に足を運んでみてはいかがでしょうか。