露の五郎兵衛のお話
今の落語の噺屋のルーツをたどると、今からおよそ三百年以上前に、京都で活躍していた噺屋が「露の五郎兵衛」と言われています。寛永二十年の生まれで、主に野天で活躍するようになる辻噺を中心に活躍しています。仏教の経典や教義を分かりやすく説き聞かせる談義僧でしたが、その中に滑稽さを取り入れて「辻噺」に変化させていったものが落語の原点にもなります。また、諸大名の話の相手を務めたお伽坊主がいましたが、五郎兵衛は、台や床几の上に座り、手前に置いた机に本を広げるスタイルで噺をしていました。
辻噺(つちばなし)とは?
戦乱の時代は終わり、民衆は娯楽を求めるまでになりました。世の中に歌舞音曲があふれた頃に、露の五郎衛門は京都の人の集まる所や、仏事祭礼を行うところで噺を始めたのを「辻話」とよびます。これが落語の原点であったと過言ではありません。